福島県郡山市で、戦前期のアールデコ様式の建造物が問題にされる中で、「解体か保存か?」というテーマが掘り下げられています。三島由紀夫生涯を描いた日米合作映画のロケ地にもなったこの建物は、1930年(昭和5)に完成した鉄筋コンクリート2階建てで、中央に4階建ての塔を備えた左右対称造りの堂々たる容貌で、郡山市役所として使われた後の69年に県に移管されました。
この建物は、85年のカンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞した「MISHIMA」(ポール・シュレイダー監督)の撮影にも使われ、そのうちのシーンでは三島が市ケ谷駐屯地で自殺前に陸自隊員に決起を促した、フランシス・コッポラ、「スター・ウォーズ」で知られるジョージ・ルーカスの両氏も、作品の製作総指揮者として臨席しました。
2019年に耐震補強の工事は行われた。しかし、築95年を経て老朽化にはあらがえず、県はJR郡山駅近くに新庁舎を建設中で、来夏には移転する計画。一方で、今年度予算に現庁舎のアスベスト調査費として900万円を計上した。
これに対して、安積国造神社(郡山市)の安藤智重宮司ら有志は「米軍空襲の戦災も免れた、郡山市に残る数少ない近代遺産」として保存を求めて会を結成しました。19日には市役所で記者会見を開き、施設の利活用策の素案を示しながら市民に機運醸成を呼びかけた。
また、日大工学部の速水清孝教授(建築史)も「当時の先端的な技術を駆使した建築物。陸軍士官学校も一時は解体の危機に直面したが、部分的ながら『市ケ谷記念館』として残された。昭和戦前期の郡山市を代表するランドマークの保存も不可欠だ」と訴えました。
しかし、行政の歯切れは悪いとされます。県の担当課は「アスベスト調査は建物全体の構造を把握するため。解体か保存か、県が所有し続けるか市に返還するのか、方針は何も決まっていない」。椎根市長も会見で「所有者である県とコミュニケーションを取りながら検討する」と繰り返しました。
これは、自治体には人口減と高齢化による維持管理費不足のために公営施設の再編を進めざるを得ないことがある一方で、保存を求める市民にとっては移転まで1年を切ってなお役所が方向性を示さないことに疑心も湧く。
この建物は、85年のカンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を受賞した「MISHIMA」(ポール・シュレイダー監督)の撮影にも使われ、そのうちのシーンでは三島が市ケ谷駐屯地で自殺前に陸自隊員に決起を促した、フランシス・コッポラ、「スター・ウォーズ」で知られるジョージ・ルーカスの両氏も、作品の製作総指揮者として臨席しました。
2019年に耐震補強の工事は行われた。しかし、築95年を経て老朽化にはあらがえず、県はJR郡山駅近くに新庁舎を建設中で、来夏には移転する計画。一方で、今年度予算に現庁舎のアスベスト調査費として900万円を計上した。
これに対して、安積国造神社(郡山市)の安藤智重宮司ら有志は「米軍空襲の戦災も免れた、郡山市に残る数少ない近代遺産」として保存を求めて会を結成しました。19日には市役所で記者会見を開き、施設の利活用策の素案を示しながら市民に機運醸成を呼びかけた。
また、日大工学部の速水清孝教授(建築史)も「当時の先端的な技術を駆使した建築物。陸軍士官学校も一時は解体の危機に直面したが、部分的ながら『市ケ谷記念館』として残された。昭和戦前期の郡山市を代表するランドマークの保存も不可欠だ」と訴えました。
しかし、行政の歯切れは悪いとされます。県の担当課は「アスベスト調査は建物全体の構造を把握するため。解体か保存か、県が所有し続けるか市に返還するのか、方針は何も決まっていない」。椎根市長も会見で「所有者である県とコミュニケーションを取りながら検討する」と繰り返しました。
これは、自治体には人口減と高齢化による維持管理費不足のために公営施設の再編を進めざるを得ないことがある一方で、保存を求める市民にとっては移転まで1年を切ってなお役所が方向性を示さないことに疑心も湧く。