大阪・関西万博で見た心臓の再生は、未来の医療の可能性を強く感じさせてくれました。 yetし、脳についてはどうでしょうか。 脳卒中や脳挫傷の患者、認知症の高齢者などから「脳は再生できないのですか」と尋ねられることがよくあります。
私もいつも、「心臓や肝臓のようにはいきません」と正直にお答えします。 脳は全身の司令塔であり、細胞が存在するだけでなく、複雑に張り巡らされた神経回路として働かねばならないからです。
しかし近年、脳の分野でも希望の芽がありました。パーキンソン病に対するiPS由来の神経移植の臨床試験が国内で始まり、実際にドーパミン神経を補う研究が報告されています。また海外では、脳梗塞患者に「脳の神経をつくるもとになる細胞」と呼ばれるものを移植し、失った機能を取り戻そうとする臨床試験が始まっています。
これらの研究では、移植した細胞が長く生き残ることや、周囲の神経と正しいネットワークをつけるかどうかが大きな課題です。安全性を確認しながら、一歩ずつ進める必要があります。
一方で、脳には「可塑性(かそせい)」という不思議な力があります。経験や学習、損傷などに応じて、神経細胞や神経回路のつながりが変化し、新しい働きを担えるようになる能力です。
完全な再生ではありませんが、こうした回復は実際の臨床現場でもよく経験します。人間の脳にはまだまだ秘められた力があるのです。
脳の再生医療はまだ道半ばですが、着実に進んでいます。高齢化が進む日本にとって、脳の病気に立ち向かう新しい力になることを願っています。
				
			私もいつも、「心臓や肝臓のようにはいきません」と正直にお答えします。 脳は全身の司令塔であり、細胞が存在するだけでなく、複雑に張り巡らされた神経回路として働かねばならないからです。
しかし近年、脳の分野でも希望の芽がありました。パーキンソン病に対するiPS由来の神経移植の臨床試験が国内で始まり、実際にドーパミン神経を補う研究が報告されています。また海外では、脳梗塞患者に「脳の神経をつくるもとになる細胞」と呼ばれるものを移植し、失った機能を取り戻そうとする臨床試験が始まっています。
これらの研究では、移植した細胞が長く生き残ることや、周囲の神経と正しいネットワークをつけるかどうかが大きな課題です。安全性を確認しながら、一歩ずつ進める必要があります。
一方で、脳には「可塑性(かそせい)」という不思議な力があります。経験や学習、損傷などに応じて、神経細胞や神経回路のつながりが変化し、新しい働きを担えるようになる能力です。
完全な再生ではありませんが、こうした回復は実際の臨床現場でもよく経験します。人間の脳にはまだまだ秘められた力があるのです。
脳の再生医療はまだ道半ばですが、着実に進んでいます。高齢化が進む日本にとって、脳の病気に立ち向かう新しい力になることを願っています。