「構造転換」前に米作りの衰退を検証するか
日本は食料自給率がG7の主要国の中でも低いまま。今年初めから「令和の米騒動」と呼ばれる問題が続いている。主食のコメが手に入りにくくなっており、農業が衰退している。
橋本英介社長は、5年後ぐらいに本当のコメ不足が来かねないと話す。大規模農家「沼南ファーム」は今後、農家が減り、田んぼが大量に手放されるようになるとみている。残った農家では引き受けきれず、供給力の低下が一気に進む可能性がある。
農林水産省は5年おきに調べる農林業センサスで、25年の基幹的農業従事者数は20年から25%も減り、平均年齢は約68歳で高止まりしている。農作物をつくる人や担い手が育っておらず、農作物を生産する人がいなくなっていると言う。
戦後まもない頃の農政は食料不足の中に増産を急げたことから、1960年代にはコメを再び自給できるようになった。農地改革で農家が自分の土地を持てるようになり、意欲が高まったこともある。61年には農業基本法を制定し、他産業との格差是正を目標にした。
60年代以降、パンや肉など食の洋風化が定着して、コメはかつてのようには食べられなくなった。政府は戦時中に築いた食糧管理制度を維持し、コメを高値で買い取っていたため財政赤字の要因となった。
そこで70年代からコメの生産量を抑える「減反政策」を本格化させた。コメからほかの作物への転換にも力を入れた。
農業全体の総産出額は84年がピークで、11.7兆円に達した。農業の「斜陽化」が際立ってきたのは、90年代にバブル経済がはじけて日本が長期低迷に入ってからだ。
政府は新たな政策を考えるべきだが、これまでの農政の失敗をまずは検証する必要がある。
日本は食料自給率がG7の主要国の中でも低いまま。今年初めから「令和の米騒動」と呼ばれる問題が続いている。主食のコメが手に入りにくくなっており、農業が衰退している。
橋本英介社長は、5年後ぐらいに本当のコメ不足が来かねないと話す。大規模農家「沼南ファーム」は今後、農家が減り、田んぼが大量に手放されるようになるとみている。残った農家では引き受けきれず、供給力の低下が一気に進む可能性がある。
農林水産省は5年おきに調べる農林業センサスで、25年の基幹的農業従事者数は20年から25%も減り、平均年齢は約68歳で高止まりしている。農作物をつくる人や担い手が育っておらず、農作物を生産する人がいなくなっていると言う。
戦後まもない頃の農政は食料不足の中に増産を急げたことから、1960年代にはコメを再び自給できるようになった。農地改革で農家が自分の土地を持てるようになり、意欲が高まったこともある。61年には農業基本法を制定し、他産業との格差是正を目標にした。
60年代以降、パンや肉など食の洋風化が定着して、コメはかつてのようには食べられなくなった。政府は戦時中に築いた食糧管理制度を維持し、コメを高値で買い取っていたため財政赤字の要因となった。
そこで70年代からコメの生産量を抑える「減反政策」を本格化させた。コメからほかの作物への転換にも力を入れた。
農業全体の総産出額は84年がピークで、11.7兆円に達した。農業の「斜陽化」が際立ってきたのは、90年代にバブル経済がはじけて日本が長期低迷に入ってからだ。
政府は新たな政策を考えるべきだが、これまでの農政の失敗をまずは検証する必要がある。