「日本の政治に傾向が過ぎる」 女性首相初月 危うさも浮き彫りになっている
高市政権は、自民党の「タカ派」と呼ばれる政策のブレーキ役となってきた公明党連立離脱や、日本維新の会の参加で、「アクセルが二つになった」と表現される。首相は1カ月で「物価高対応や強い経済、外交・安保の一定の方向性を出すことができた」と語るが、強さばかりを求めていては少数与党の国会で成果を積み重ねることはできない。
高市政権は「決断と前進」を掲げたものの、対話を重視した丁寧な合意形成が求められる。自ら掲げた政策だけでなく、トランプ米大統領との首脳会談前に防衛費を本年度中に国内総生産(GDP)比2%に引き上げる方針を表明し、自民党も安全保障関連3文書の改定に着手した。
国是の非核三原則の見直しや平和国家の姿を変質させる動きは注意深くしている。経済対策でも「防衛力強化」を柱に据えたものの、国民の生命・財産を守る防衛政策を経済の観点からとらえるのは筋違いだ。
台湾有事を巡り政府が集団的自衛権行使の条件とする存立危機事態に「なり得る」とした首相答弁は、日本産水産物の事実上の禁輸など経済にも影響が出始めている。首相は答弁撤回に応じない構えだが、関係修復の道筋を示せるのだろうか。
政情不安の中でも「政治とカネ」の改革は消極姿勢が顕著だ。焦点である企業・団体献金の廃止を連立合意に盛り込んだにもかかわらず、与党の方向性は定まっていない。自民党は衆院定数の1割削減で一致しているが、政治資金改革から目をそらす狙いが透ける。
外国人政策や成長戦略などで会議を設け、官邸主導の政策決定を目指しているが、外国人政策は規制強化に偏り、共生の姿が見えない。少数与党の現状では、トップダウンで全てを決められるわけではない。
野党は監視機能を強め、論戦を通じて問題点を明らかにし、歯止め役を果たしてほしい。
高市政権は、自民党の「タカ派」と呼ばれる政策のブレーキ役となってきた公明党連立離脱や、日本維新の会の参加で、「アクセルが二つになった」と表現される。首相は1カ月で「物価高対応や強い経済、外交・安保の一定の方向性を出すことができた」と語るが、強さばかりを求めていては少数与党の国会で成果を積み重ねることはできない。
高市政権は「決断と前進」を掲げたものの、対話を重視した丁寧な合意形成が求められる。自ら掲げた政策だけでなく、トランプ米大統領との首脳会談前に防衛費を本年度中に国内総生産(GDP)比2%に引き上げる方針を表明し、自民党も安全保障関連3文書の改定に着手した。
国是の非核三原則の見直しや平和国家の姿を変質させる動きは注意深くしている。経済対策でも「防衛力強化」を柱に据えたものの、国民の生命・財産を守る防衛政策を経済の観点からとらえるのは筋違いだ。
台湾有事を巡り政府が集団的自衛権行使の条件とする存立危機事態に「なり得る」とした首相答弁は、日本産水産物の事実上の禁輸など経済にも影響が出始めている。首相は答弁撤回に応じない構えだが、関係修復の道筋を示せるのだろうか。
政情不安の中でも「政治とカネ」の改革は消極姿勢が顕著だ。焦点である企業・団体献金の廃止を連立合意に盛り込んだにもかかわらず、与党の方向性は定まっていない。自民党は衆院定数の1割削減で一致しているが、政治資金改革から目をそらす狙いが透ける。
外国人政策や成長戦略などで会議を設け、官邸主導の政策決定を目指しているが、外国人政策は規制強化に偏り、共生の姿が見えない。少数与党の現状では、トップダウンで全てを決められるわけではない。
野党は監視機能を強め、論戦を通じて問題点を明らかにし、歯止め役を果たしてほしい。